汲み取り式トイレ(簡易水洗)を徹底解説!水洗トイレへの改修工事の費用もご紹介
汲み取り式トイレとは、下水管が整備されていない地域で多く見られる、排泄物を便槽に貯めて定期的に汲み取る仕組みのトイレのことです。日本では古くから使われてきたものの、衛生面や臭気などのデメリットがあり、近年は下水道の整備が進み、水洗トイレへの改修が進んでいます。
本記事では、汲み取り式トイレの基本的な仕組みを解説。さらに、汲み取り式トイレから水洗トイレへの改修費用やポイントについてご紹介します。
目次
汲み取り式トイレ(簡易水洗)とは?基本的な仕組みや種類を解説
汲み取り式トイレ(簡易水洗)は、水洗トイレとは異なる独自の仕組みを持つトイレの一種です。
この項目では、汲み取り式トイレがどのような仕組みのトイレで、どのような種類があるのか、さらにどのような利用シーンがあるのかまでを詳しく解説いたします。
汲み取り式トイレの基本的な仕組み
冒頭でもご説明したとおり、汲み取り式トイレの基本的な仕組みは、排泄物を便槽に貯めておき、定期的に汲み取るといったものが一般的です。
ただ、「汲み取り式トイレ」と一口に言っても、実はこの汲み取り式トイレにはいくつかの種類が存在し、利用シーンも様々。
次の項目からは、汲み取り式トイレの種類や、利用シーンについて詳しくお伝えします。
汲み取り式トイレの種類
汲み取り式トイレには、大きく分けて「和式汲み取り式トイレ」「洋式汲み取り式トイレ」「簡易水洗トイレ」の3種類があります。
私たち日本人にもっともなじみ深いのが、「和式汲み取り式トイレ」です。
和式汲み取り式トイレは、便器の穴から排泄物が直接便槽に落ちる仕組みのトイレのこと。便器と便槽の間にフタが付いているものもありますが、臭いが発生しやすいというデメリットがあります。
つぎに、「洋式汲み取り式トイレ」についてです。
洋式汲み取り式トイレは、便器の下に便槽が埋め込まれているタイプのトイレのこと。見た目は水洗トイレとほとんど変わりませんが、和式と同様に便器の穴から排泄物が便槽に落ちる仕組みです。ただ、便器と便槽の間にフラッパー弁が付いているため、臭い漏れを防ぐことができるのがメリットです。
さらに、汲み取り式トイレには「簡易水洗トイレ」というものもあります。
簡易水洗トイレは、便器と便槽の間に弁が付いていて、流すときにだけ水が流れるようになっています。便槽の臭気を防ぐことができるのがメリットです。
汲み取り式トイレの利用シーン
汲み取り式トイレの利用シーンは、主に下水道が整備されていない農村部や山間部といった地域や、別荘やキャンプ場など、水洗トイレを設置できない場所となります。
また、災害時などで下水道が破損した際に、仮設のトイレとして利用されるのも、汲み取り式トイレの特徴のひとつです。
また、近年環境への配慮が高まるなか、水を節約し、リサイクル可能な排泄物を処理する方法として、汲み取り式トイレが選択されることがあります。これは、持続可能なトイレの選択として重要です。
さらに、水を節約することが重要な場合、汲み取り式トイレは有用です。水洗トイレに比べて使用水量が少なく、水資源の節約に有効と考えられています。
くわえて、水洗トイレの設置や改修には相応の費用がかかりますが、汲み取り式トイレは比較的低コストで設置できるため、予算が限られている場合に選択されることもあるのです。
汲み取り式トイレのメリットとデメリット
汲み取り式トイレには、いくつかのメリットとデメリットがあります。
具体的な、メリットとデメリットは以下のとおりです。
■メリット
- 水の節約になる
- エコフレンドリー
- 設置費用が安い
- メンテナンスが簡単
- 停電時でも使用できる
■デメリット
- 臭いが気になる
- 衛生面が不安
- 容量が限られている
- 汲み取り頻度が高い
ここから、汲み取り式トイレのメリットとデメリットを詳しくお伝えいたします。
汲み取り式トイレのメリット
まずは、汲み取り式トイレのメリットをご紹介いたします。
汲み取り式トイレのメリットは、なんといっても水洗トイレと比べて水の使用量が非常に少ないことです。使用する水が少ないため、水の節約につながります。
また、汲み取り式トイレは、汚水処理の過程を経ずに、排泄物をコンポスト化または堆肥化することが可能です。これは環境に優しい方法であり、リサイクル可能な資源を生み出すことに繋がります。
下水管に接続する必要がないため、設置費用が安いというメリットもあるでしょう。くわえて、水洗トイレのように定期的なメンテナンスが不要なのもメリットのひとつ。もし便槽の汚れや臭いが気になる場合は、自分で掃除や消臭剤の使用を行うことができます。
そして、今でも汲み取り式トイレが重宝されている理由として、電気がなくても使用できることが挙げられます。
災害や停電時でも、トイレを使用したい場合は、汲み取り式トイレがおすすめです。
汲み取り式トイレのデメリット
続いて、汲み取り式トイレのデメリットについてお伝えします。
汲み取り式トイレで、もっともわかりやすいデメリットとして、便槽に排泄物を溜め込むため、臭いが気になるという点が挙げられます。特に、気温が高い夏場や、使用頻度が高い場合は、臭いが強くなることがあるでしょう。
また、汲み取り式トイレは便槽に排泄物を溜め込む仕組みのため、衛生面が不安という点もデメリットといえます。汲み取り業者の確保が難しい地域や、汲み取り費用が高騰している地域については、特にマイナス面と考えられます。
くわえて、汲み取り式トイレのタンクの容量には限界があり、頻繁な取り出しと処理が必要です。大人数の家族や頻繁な使用がある場合、タンクの容量が足りなくなる可能性があります。
さらに汲み取り式トイレは、使用頻度や家族の人数によって異なりますが、一般的に1~2年に1回の汲み取りが必要です。業者によって異なりますが、汲み取り費用は1回あたり数千円~数万円程度かかるのが一般的です。
寒冷地域では、タンク内の水が凍ることがあるため、冬季における適切な管理が必要です。
設置費用やメンテナンスが不要ですが、このような汲み取り費用はかかるので、「安いから」と安易に考えて汲み取り式トイレを選択するのはおすすめできません。
汲み取り式トイレから水洗トイレへの改修
汲み取り式トイレは、設置費用が安く、メンテナンスが簡単というメリットがある一方で、臭いや衛生面の不安、汲み取りの手間などのデメリットもあります。
臭いや衛生面の不安を解消し、快適なトイレ環境を実現したい場合は、水洗トイレへの改修を検討することもおすすめです。
この項目では、汲み取り式トイレから水洗トイレへの改修する際の工事の工程や費用について解説いたします。
汲み取り式トイレから水洗トイレへの改修を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
改修工事の必要性
すでにお伝えしましたが、臭いや衛生面の不安があったり、汲み取りの手間や費用がかかったりと、汲み取り式トイレだからこそのデメリットというものが存在するのです。
汲み取り式トイレから水洗トイレに改修することで、臭いや衛生面の不安を解消でき、汲み取りの手間を省くことができます。
特に大人数の家族や高水使用量がある場合、水洗トイレの方が適していることがあります。
改修工事のステップと費用について
汲み取り式トイレから水洗トイレへの改修工事は、以下のステップに分かれて進行します。費用は改修の規模や地域によって異なりますが、今回は一般的なものをご紹介します。
ステップ1:計画と設計をおこなう
まず、トイレ改修工事の計画を立てます。具体的には、現地調査を行い、便槽の位置や、下水管の距離などの情報を収集するというもの。
これには、水洗トイレの設置場所、トイレのデザイン、必要な設備の選定などが含まれます。また、地元の建築許可を取得することも忘れず実施するようにしましょう。
ステップ2: 既存設備を撤去と新しいトイレの設置工事
計画と設計が済んだら、つぎにトイレボウル、タンク、排泄物の処理装置などといった、汲み取り式トイレの既存の設備を撤去します。
つぎは、新しい水洗トイレを設置するための作業となります。具体的には、水供給管の取り付け、水洗トイレ本体の設置、排水管の接続などです。
さらに、新しいトイレと水源、下水設備を接続する配管と電気工事を実施します。必要に応じて、配管や電気設備のアップグレードも行うこともあるでしょう。
最後に、新しい水洗トイレ本体を設置して設置工事は完了です。
水洗トイレ本体の設置には、トイレボウル、水タンク、座席、操作パネルなどを取り付ける作業が含まれます。
ステップ3: 清掃と最終検査
改修工事が完了したら、トイレ周辺を仕上げ、清掃します。壁紙や床材の設置、塗装、清掃作業をおこなう必要があるでしょう。
さらに、水洗トイレの動作を確認し、配管や電気設備が正しく機能していることを確認すれば、すべての工程が完了です。
汲み取り式トイレから水洗トイレへの改修工事の費用は、地域や施工業者によって異なりますが、一般的な目安として10万円~30万円程度です。
汲み取り式トイレから水洗トイレへの改修工事は、費用がかかる工事ですので、事前に見積もりを取り、費用を比較検討しておきましょう。
汲み取り式トイレから水洗トイレへの改修のポイント
この項目では、汲み取り式トイレから水洗トイレへの改修のポイントを、「環境と快適性の両立」「費用と助成金の活用」「トイレ改修がもたらす生活の向上」のポイントに分けて、詳しく説明します。
環境と快適性の両立
汲み取り式トイレは、下水管に接続せずに使用できるため、環境に優しいというメリットがある一方、便槽に排泄物を溜め込むため、臭いにくわえ、衛生といった面で不便を感じることがあるでしょう。
水洗トイレは下水管に接続して使用するため、環境に優しく、お伝えしたような衛生面での不安もありません。また、ボタンを押すだけで汚水を流すことができるため、トイレの使い勝手も向上します。
費用と助成金の活用
「汲み取り式トイレから水洗トイレへの改修」の項目で詳しくお伝えしましたが、汲み取り式トイレから水洗トイレへの改修工事には、費用がかかります。工事の規模や地域によって異なりますが、一般的に10万円~30万円程度。
しかし、地域によっては、国や自治体から改修費用の助成金が出ている場合があります。助成金を利用することで、費用を抑えることも可能です。
トイレ改修がもたらす生活の向上
汲み取り式トイレから水洗トイレへの改修を行うことで、衛生状態の向上し、快適で清潔なトイレ環境を確立することができます。
また、汲み取り式トイレを新しい水洗トイレに改修することで、不動産価値にプラスの影響を与えることがあります。
まとめ
汲み取り式トイレは、設置費用が安く、メンテナンスが簡単というメリットがある一方で、臭いや衛生面の不安、汲み取りの手間などのデメリットもあります。
また汲み取り式トイレは、環境への配慮やコスト削減を重視する場合には有用な選択肢ですが、排泄物の取り扱いと定期的なメンテナンスが必要なことを考慮する必要があるでしょう。適切な使用状況や条件に合わせて、選択することが重要です。臭いや衛生面の不安を解消し、快適なトイレ環境を実現したい場合は、水洗トイレへの改修を検討することもおすすめします。
とはいえ、汲み取り式トイレから水洗トイレへ改修した場合も、定期的なメンテナンスは継続するのが、快適なトイレ環境を維持するには重要です。
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